インド中銀金融政策決定会合(MPC)とは、インド中央銀行(RBI)が、政策金利や今後の金融政策の方針を決定するために、少なくとも年に4回開催する会合です。
金融政策決定会合に参加する金融政策委員会は、6名のメンバーで構成されており、その内3名はインド中央銀行総裁を含む中央銀行職員で、残りの3名はインド政府職員となっています。また、会合後に、6名全員の声明文が公表されるのが特徴的です。
目次
この記事を読むメリット&読了までの所要時間目安
・インドの金融政策会合について幅広く知れる
・インド政策金利について分かる
・最新結果へのアクセス方法を知れる
・金融政策の目的について知れる
・指標英単語が学べる
・2019年以降の政策金利の推移が分かる
・4分弱
1. インド中銀における政策金利とは?
一概に「政策金利」と言っても、何を政策金利とするかは、国によって異なります。例えば、日本では無担保コールレート翌日物、米国ではFF金利、オーストラリアでは、オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を政策金利としています。
インド中央銀行(RBI)の場合は、レポ金利を政策金利としています。
レポ金利とは、インド中央銀行が市中銀行に貸し出す際に適用される金利です。市中銀行は、インド中銀から借りた資金を翌日には返済するため、翌日物貸出金利と言われています。
2. レポ金利の反対?リバースレボ金利とは??
インドの政策金利関連の記事を読んだことがある方は、「リバースレポ」という言葉を見た事があるのではないでしょうか?
このリバースレポ金利というのは、市中銀行がRBIにお金を預ける際の預金金利のことを指します。
レポ金利が、「インド中銀が市中銀行に貸し出す際の金利」ですので、その逆(リバース)と考えれば分かりやすいかもしれません。
リバースレポ金利関連のニュースでは、直近(2020年4月17日)に、インド中銀がリバースレポ金利を25ベーシスポイント引き下げ3.75%にすると公表しました。
リバースレポの引き下げは、予想外との結果になりましたが、市中銀行が中銀に預ける際に得られる金利を引き下げることによって、銀行の融資を後押しする意図があったとされています。
3. 金融政策の目的は? なぜ金融政策をするのか?
金融政策を実施する主な目的は、物価を適切な水準に保つことです。「適切な水準」は、その国によって異なりますが、米国や日本、オーストラリアといった先進国と言われる国々は、大体2%付近を目標とするのが一般的となっています。
インドでは、「2021年3月31日まで、年率4%(上限6%、下限2%)のインフレ率を維持すること」をインフレ目標として設定しています。
また、3ヶ月連続で目標レンジ内にインフレ率が収まらない場合、金融政策委員会は、政府に対して説明責任を負います。
4. 最新情報の確認方法
ここでは、インド中銀が毎回の会合後に公表するレポートへのアクセス手順を説明します。英語で表記されていますので、次の項で紹介している「指標英単語」を参考にしていただければと思います。
④の手順まで進めると、15ページ程の英文PDFの資料にアクセスできるかと思いますが、ここに声明文や金融政策決定会合決定された政策金利についての最新結果が記載されています。
5. レポート中にでてくる英単語紹介
ここでは、レポート中にでてくる英単語や英表現の内、重要度が高いと思われるもののみピックアップし説明していきます。
また、原文資料は、15ページ程ありますが、金融政策決定について記載されているのは、2ページ目にある[Resolution]の項目のみです。後は、インド国内の経済についてや、今後の見通し、委員会参加者の声明文が書かれています。
*原文資料へのアクセス方法については、上述した「4. 最新情報の確認方法」を参考
そのため、以下の表は、[Resolution]の項目に出てくる英単語や英表現のみをまとめています。
単語 | 意訳 |
decided to: | 決定事項 |
reduce the policy repo rate | レポレートの引き下げ |
under 〜 | 〜のもとで |
LAF | インド中銀の金融政策ツール。詳細は、(注)を参考 |
reverse repo rate | リバースレポ金利 |
reduce by 90 basis point to 4.0% | 90ベーシスポイント引き下げ、4.0%にする |
continue accommodative stance | 金融緩和のスタンスを続ける |
(注)
LAF: 主にインド中央銀行によって行われる金融政策の手段。市中銀行にレポ取引の実施や、リバースレポによるRBIへの貸し付けを許容することを指す。
6. インド中銀 政策金利の推移
以下は、インド中央銀行が政策金利としている「レポ金利」の推移を示すグラフです。

インド中銀は、2019年以降、5会合連続で利下げを実施しました。インフレ率を年率4%(上限6%、下限2%)のレンジ内に収めるためや、経済成長の回復を図ることが目的です。
2019年10月以降は、金融政策のスタンスを「緩和的」とするも、3会合連続で金利を据え置き。
2020年4月には、新型コロナの影響を受け、75ベーシスポイントの引き下げを実施しました。また、必要であれば、今後も緩和的な政策スタンスを続けるとのことです。
7. まとめ
インド中銀・金融政策決定会合 | |
会合の名称 | 金融政策決定会合(MPC) |
会合の概要 | インド中央銀行(RBI)が、 政策金利や今後の金融政策 の方針を決定するために 開催する会合 |
主な目的 | 年率4%付近で物価を維持するため |
政策金利 | レポ金利/リバースレポ金利 |
開催頻度 | 最低年に4回 |
委員会の構成 | 6名(中銀職員3名+政府職員3名) |
会合の特徴 | 全参加者の声明文が公表される |
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