あまり知られていない!?スイスの金融政策について幅広く解説!!

スイス・金融政策理事会とは、スイス国立銀行(SNB)の役割や義務を定めたスイス連邦憲法第99条にのっとって、政策金利の誘導目標や、その他の金融政策について決定する理事会です。

理事会は、四半期ベース(年に4回)で開催され、理事会での決定事項は、理事会終了後のプレスリリースにて公表されます。

また、四半期報告書(Quarterly Bulletin)と言われる広報誌も発行され、その中には、金融政策についてや景気動向について記載されています。

この記事を読むメリット&読了目安時間

この記事を読むメリット
・スイスの金融政策について深く知れる
・スイス国立銀行の政策金利について分かる
・原文を読むのに役立つ指標英語が学べる
・スイス中銀の役割について知れる
・政策金利の過去動向が確認できる
読了までの所要目安時間
・4分


1. スイス中銀に課せられた主な3つの役目

ナショナルバンク制度の第1条に、スイス国立銀行が果たすべき役目や義務について書かれています。スイス国立銀行のホームページによると、スイス国立銀行に課された役目は下記の通りです。


スイス中銀の主な3つの役目
①独立性の維持
②物価を安定させる
③経済状況を考慮した上での金融政策の実施


①独立性の維持

スイス中銀に課せられている役目の一つが、独立性の維持です。

当たり前ですが、スイス国立銀行は、スイス経済全体のために金融政策を実施する必要があります。もちろん、特定の業界や団体に忖度した金融政策は認められておらず、景気動向と価格安定のみを考慮して政策を実施する義務が課せられています。


②物価を安定させる

物価は、消費者や生産者の購買行動に大きな影響を及ぼすため、経済の成長や繁栄には物価の安定が欠かせません。

そのため、スイス国立銀行は、金融政策の目的として「中期的、及び長期的物価の安定」を掲げています。その背景には、適切な物価水準によってのみ経済がフルに活動できるという考えがあり、スイス国立銀行は、 適切な物価水準を「前年比+2.0%」としています。


③経済状況を考慮した上での金融政策の実施

景気循環の変動や経済危機などの特殊要因による大幅な物価変動は必ず起きるものであり、避けることができません。

大幅な物価変動の主な原因は、総需要と総供給のミスマッチです。そして、そうしたミスマッチを解消するために、スイス国立銀行は、金融政策を通して、総需要をコントロールする役目があります。


2. スイス中銀は何を政策金利としているの?

これまで、スイス国立銀行は、スイスフランLIBOR3ヶ月もの金利を政策金利として設定してきました。


参考 〜 LIBOR3ヶ月もの金利ってなに?
LIBOR3ヶ月もの金利とは、ロンドン市場で、3ヶ月後に返済することを想定した資金を貸し借りする際に適用される金利のことで、スイスフランLIBOR3ヶ月もの金利とは、期間が3ヶ月もののスイスフランを貸し借りする際に適用される金利のことを指します。

一般的に、翌日物金利(翌日に返済することを想定された銀行間の資金の貸し借りの際に適用される金利)を政策金利として設定する国が多い中で、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が設定するスイスフランLIBOR3ヶ月もの金利は、より期間が長い金利となっています。

しかし、ご存知の方もいるかもしれませんが、LIBORでは不正操作が発覚し、2021年以降は恒久的に廃止される方針が決定しました。

それに伴い、スイス国立銀行は、LIBOR3ヶ月もの金利に替わる政策金利として、各民間銀行がスイス国立銀行に預ける際に適用される金利 「中銀預金金利」を政策金利として設定しました。


3. 主な金融政策ツール

スイス国立銀行は、複数の金融政策を組み合わせて、物価の安定や経済の安定を図ろうとします。そして、物価や経済の安定を図るためには、市中に出回る資金量を調整する必要があり、その手段として、主に以下3つの金融政策ツールが使用されます。


主な3つの金融政策ツール
①政策金利の設定
②公開市場操作
③為替介入


①政策金利の設定

上述した通り、スイス国立銀行は、各行が中央銀行に預ける際に適用される「預金金利」を政策金利として設定しています。

預金金利を引き下げれば、各民間銀行は、中央銀行に預けておくよりも、民間企業などに貸し出した方が、より多くの利子を受け取ることができるため、積極的に貸しだそうとするインセンティブが働き、市中に出回る資金量は増加します。

反対に、預金金利を引き上げれば、中央銀行に預けておこうとするインセンティブが働き、市中に出回る資金量が減少します。

このように、預金金利を引き上げたり、引下げたりすることによって、間接的に市中に出回る資金量を調整しているのです。


②公開市場操作

公開市場操作は、最も効果的な金融政策ツールとされています。

というのも、公開市場操作では、市場に出回っている国債などの証券を、新しい貨幣と引き換えに中銀が購入したり、反対に、証券を民間金融機関に売却し、市中から資金を吸収したりするため、直接的に市中に出回っている資金量を調整することができます。

そのため、即効性が高く効果が高いとされているため、スイス国立銀行だけではなく、他の国々でも、主な金融政策の手段として使われています。


③為替介入

スイス国立銀行は、スイスフランが割高や割安と判断した際には、為替介入を実施し、価格の調整を図ります。実際、2019年6月には、自国の通貨高に対して、為替介入で対応する方針を打ち出しています。

スイス国立銀行(中銀)は13日、超緩和的な金融政策を続けるとともに、自国通貨高には介入で対応する方針を維持した。世界経済の減速と他の中銀による政策シフトがスイス・フランを押し上げており、スイス中銀は当面、現在の金融政策を維持する公算が大きい。

引用元: Bloomberg

以上が、スイス国立銀行が実施する主な金融政策です。他国の金融政策についても知りたい方は、以下をご覧ください。

英中銀 金融政策委員会(MPC)決定会合について徹底解説!!金融政策の決定プロセスから他国との比較まで。

世界で最も注目される金融政策委員会。米連邦公開市場委員会 (FOMC) の全て。

インドではどのような金融政策が行われているのか??インド中銀金融政策決定会合(MPC)について幅広く解説!

オーストラリアの金融政策について知りたい方必見!!金融政策決定プロセスから政策金利の推移まで幅広く解説!


4. プレスリリースへのアクセス方法

スイス国立銀行(SNB)が、金融政策理事会の後に公表するプレスリリースへのアクセス方法は以下の通りです。

⑥の手順まで進めると、数ページ程のPDF資料にアクセスできます。ここで、スイス国立銀行が公表する声明文(プレスリリース)を確認することができます。


5. プレスリリースによく使われる指標英単語

ここでは、スイス国立銀行が公表するプレスリリースに頻出する英単語や、英文経済記事によくでてくる英単語を紹介しています。

単語 意訳
expansionary  緩和的な
monetary policy 金融政策
remains necessary  依然必要
appropriate  適切な
keep〜 〜のままにする
policy rate 政策金利
highly valued  割高な
intervene 介入する
foreign exchange
market
外国為替市場

6. 政策金利のこれまでの動向

以下は、スイス国立銀行が誘導目標とする政策金利の2009年以降の推移です。

参考元: スイス・中銀政策金利 – みんかぶ


スイス国立銀行は、2011年第2四半期まで、政策金利を+0.25%としていました。そして、それ以降は、2014年第3四半期まで+-0.0%とし、2014年第4四半期には、-0.25%に設定、2015年第1四半期から現在(2020年第2四半期)に至るまでずっと、-0.75%に据え置きしています。


7. まとめ

金融政策理事会
主体機関 スイス国立銀行
開催頻度 四半期に1回
指標概要 現在の経済状況を鑑みて
政策金利の水準や金融政策
を決定する会合
3つの役目 ①独立性の維持
②物価の安定
③適切な金融政策の実施
政策金利 中銀預金金利(元々はLIBOR)
金融政策ツール ①政策金利の設定
②公開市場操作
③為替介入

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