
・新興国25通貨の値動きを指数化した指標
・ブラジル、中国、韓国の通貨動向
に影響されやすい
・構成比率は毎月見直される
・浮動通貨時価総額をベースに構成
比率を決定
・新興国通貨はリスクオンで買われやすい
・MSCI新興国通貨指数とは?
MSCI新興国通貨指数(MSCI Emerging Market Currency Index)とは、中国人民元、南アフリカランド、タイバーツなど 新興国25通貨の値動きを指数化した指標です。新興国通貨の値動きを示す代表的な指標であり、現在の新興国通貨は通貨高なのか通貨安なのかを分析するため、よく米ドルの値動きと比較して用いられます。
投資家は主に下記の用途で、MSCI新興国通貨指数を活用しています。
・新興国通貨のベンチマークとして使用
・新興国通貨をベンチマークとした金融商品を保有することで、エクスポージャーを調整したり、リスクヘッジを行う


・各国通貨の構成比率
MSCI新興国通貨指数は、25の新興国通貨から構成されており、それぞれの構成比率は以下図の通りです。
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出典: MSCI
全体を見るとラテンアメリカが24.6%、ヨーロッパ・中東・アフリカが25.2%、アジアが50.2%となっているため、アジアの新興国通貨が指数全体に与える影響度は比較的大きいと言えます。
国別で見ていくと、ブラジルレアル16.9%、中国人民元14.5%、韓国ウォン13.0%の順に構成比率が高くなっています。
従って、MSCI新興国通貨指数はアジア地域の新興国通貨の動向に影響を受けやすく 、国別で見ると、 ブラジル、中国人民元、韓国ウォンの順に影響度が高くなっているため、これらの地域・国の影響を受けやすい指標であることが分かります。
・構成比率の見直しについて
MSCI新興国通貨指数は、毎月見直しが実施されます。
毎月の見直しでは、その月の最終取引日の浮動通貨時価総額をベースに、構成比率の見直しが実施されます。

・新興国通過はどういう時に買われるのか?
新興国通貨は、財政収支が赤字であったりと、財政基盤が脆弱である国が多いため、 リスクオンで買われ、リスクオフで売られる傾向にあります。反対に、米ドルや日本円などの先進国通貨は、リスクオンで売られ、リスクオフで買われる傾向にあります。

そのため、米ドルなどの先進国通貨と新興国通貨は、逆相関の関係にあるとされています。
・MSCI新興国通貨指数推移
以下のグラフは、MSCI新興国通貨指数を、ユーロ、日本円、米ドル建てで示したグラフです。
少しデータが古く、1999年1月〜2008年1月までのデータとなっています。
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出典: MSCI
近年、新興国通貨指数は長期間の低迷期に入っておりましたが、2020年11月9日に約2年半ぶりの高水準となりました。
新型コロナワクチンの開発や景気回復に期待し、市場のリスクオン姿勢が高まっていると考えられます。
・まとめ
「MSCI新興国通貨指数」についてのまとめは、以下の通りです。
・新興国25通貨の値動きを指数化した指標
・ブラジル、中国、韓国の通過動向
に影響されやすい
・構成比率は毎月見直される
・浮動通貨時価総額をベースに構成
比率を決定
・新興国通貨はリスクオンで買われやすい