[徹底解説]新規失業保険申請件数とは?〜アメリカの雇用動向がタイムリーに分かる指標


 POINT

・新規失業保険申請件数とは、米労働省が新規で申請された失業件数をカウントし、毎週木曜日に公表する指標

・雇用統計に3〜4ヶ月先行するとされている

・季節要因の影響を大きく受ける

・一般的に40万人が改善・悪化の分岐点

・2020年3月末に史上最多件数を記録

リスくん
この記事から学べる内容は以下の通りです。

▪️この記事から知れること
・新規失業保険申請件数について
・指標の特徴
・この指標から読み解けること
・読み解く上での注意点
・新規失業保険申請件数の推移

・失業保険申請件数とは?

米労働省が、新規で申請された失業保険(UIプログラム)の申請件数をカウントし、毎週木曜日に公表する指標です。


失業保険とは休職や無職になった者が、失業給付を受けるために申請するものです。新規失業保険申請件数は、その申請者が州に失業保険の届け出を出した段階でカウントされます。


また、毎週公表されるため、 米雇用統計及び米経済の先行指標とされています。


このように、毎週公表される分速報性があり、先行指標としての役割を果たしている「新規失業保険申請件数」ですが、 週によって申請件数に大きなバラツキがでてしまうといったデメリットもあります。

赤ちゃん
祝日や休日が多い週は、申請件数が減少したりと、どうしても週によるバラツキが大きくなってしまうんだね。

たとえ、季節調整を実施したとしても、新規失業保険申請件数は毎週公表される指標であるため、特殊要因を取り除くのは困難です。


従って、申請件数をチェックする際には、「件数の背景に何か特殊要因はないか?」と考える姿勢が重要になってきます。

・他の雇用関連指標との違い

「新規失業保険申請件数」は、米労働省が公表する雇用統計やADPが公表するADP雇用統計などといった他の雇用統計指標とは以下の点で異なります。

毎週公表される
実際の数値を基に公表される

  • 毎週公表される

新規失業保険申請件数は、他の米雇用関連の指標とは異なり、毎週公表されます。


毎週公表される雇用関連の指標は数少ないため、米労働省は、毎月公表する「雇用状況レポート」をまとめる上でも、新規失業保険申請件数の結果を重要視しています。


  • 実際の数値を基に公表される

米労働省が雇用統計の中で公表する「非農業部門就業者数」やADP雇用統計で公表される就業者数などは、給与支払い帳簿などを基に調査し、就業者数を算出しています。


一方で、新規失業保険申請件数は、各州に申請された失業保険の申請件数を、米労働省が総計して公表している指標です。


従って、他のほとんどの雇用関連の指標とは異なり、調査を行って結果を算出しているのではなく、実際の件数を直接集計しているため、労働市場の実情を如実に反映した指標であると言えます。


・新規失業保険申請件数の読み解き方

新規失業保険申請件数は、米雇用統計に2〜3ヶ月ほど先行すると言われおり、件数が予想を上回り続ければ、失業率や就業者数も今後悪化する可能性を示唆しています。

米労働省が公表する失業保険の新規申請件数。木曜日に前週分の数値が発表されます。米国の雇用情勢をいち早く知るのに適した統計で、雇用統計に約2~3カ月先行するといわれています。

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また、40万人を下回るかどうかが雇用改善の目安と言われています。


尚、新規失業保険申請件数は、的確な推測をするにしては毎週の変動が大きすぎるため、4ヶ月の移動平均を用いるのが一般的です。

リスくん
4ヶ月の移動平均とは、直近4ヶ月の件数を平均することを指します。

・指標を読み解く上で注意すべきこと

新規失業保険申請件数を読み解く上で注意すべきことは、主に以下2点です。

・新規の失業保険申請件数のみが対象

・季節調整済みのデータは
新型コロナウイルスの影響が加味される


  • 新規の失業保険申請件数のみが対象

新規失業保険申請件数は、名前の通り「新規」での失業保険申請件数のみを集計対象としています。


従って、新規失業保険申請件数は、失業保険の受給者を総計している訳ではありません。


あくまでも、「新規」のみ対象であるため、失業保険を継続するために申請された件数は、この指標に含まれないので注意が必要です。

また、全ての新規失業保険申請者が実際に失業保険を受給するとも限りません。


  • 季節調整済みのデータは新型コロナウイルスの影響が加味される

もう1つ注意すべき点は、特殊要因を極力排除した「季節調整済み」データは、新型コロナウイルスの影響を極力排除した件数であるということです。


従って、現在のような状況下において、季節調整済みデータは実情を反映しているとは言えません。


そのため、エコノミストは季節調整前の数値に注目しています。

季節調整済みの数字は新型コロナの影響が加味されるため、エコノミストは調整前の数字に注目している。

REUTERS


・最新結果へのアクセス方法

新規失業保険申請件数が公表される「Unemployment Insurance Weekly Claims Report」へのアクセス手順をご紹介します。


アクセス手順


①米労働省へのホームページへアクセス

②画面を下にスクロール

③「News」欄にある「Unemployment Insurance Weekly Claims Report」を押下


③まで手順を進めると10数ページ程のPDFが表示されます。


このPDFの「SEASONALLY ADJUSTED DATA」の項目に季節調整済みの新規失業保険申請件数についての記載があり、「UNADJUSTED DATA」の項目に季節調整がされていない件数についての記載があります。


・新規失業保険申請件数の推移

以下のグラフは、2018年3月〜2020年10月31日の期間における、季節調整されていない新規失業保険申請件数の推移を示したグラフです。


グラフ中の青い点線は、前年同月の申請件数推移を表しています。


米労働省


こうして見ると、申請件数が異常な伸びを示している週があることが分かります。


これは、新型コロナウイルス感染拡大により、失業者が急増したのが原因で、3月下旬に過去最高となる686万件超を記録しました。


これまでの過去最高件数であった2009年3月の65万9000件の約10倍もの件数を記録したと考えると、その異常さが際立ちます。


赤ちゃん
40万件が雇用改善・悪化の分岐点だと言われる中で、686万件は圧倒的な件数だね。。

・まとめ

「新規失業保険申請件数」についてのまとめは、以下の通りです。

KEY WORDS
  • 米労働省が毎週木曜日に新規失業保険申請件数を集計し公表する指標
  • 米雇用統計の先行指標
  • 変動が激しい指標であるため、4ヶ月移動平均をつかって分析するのが一般的
  • 40万人を下回るかどうかが雇用改善の目安

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