インド・消費者物価指数(CPI)とは、インド国内において、特定の財やサービスの物価がどれほど変動したかを示す指標です。
前月比や前年比などの結果に加えて、基準年(2020年現在では、2012年が基準年)を100とした指数でも結果が公表されます。
また、インドの消費者物価指数(CPI)では、インド国内全体の結果に加えて、都市部と農村部のそれぞれの結果も公表されるのが特徴的です。
1. 気になる算出方法
他の国々と同様、インドでも、CPIの算出には固定バスケット方式を採用しており、予め決められている項目の物価変化率を測定しております。
具体的な算出式については、以下の通りです。
前回の物価指数×(今回の結果÷前回の物価指数)
算出式右側の項にある通り、前月や前年、基準年などと比較した今回の物価の変動割合を求め、その結果を左側の項にある前回分の結果に掛け合わせて算出しています。
2. インド・CPIの特徴
インドの消費者物価指数(CPI)は、飲食物の寄与度が非常に高いのが特徴的です。
それもそのはずで、CPIの算出に使われるバスケットの内訳をみると、飲食物が45.86%と、圧倒的な割合を占めています。
全体の大まかなバスケットの内訳としては、飲食物が45.86%、公共交通機関・教育・健康関連が28.32%、燃料・衣類などが6.84%となっております。
3. CPIの算出に使われるデータは、どのようにして集めているのか?
都市部の1,114の市場と、農村部の1,181の市場からデータを収集し、そのデータを基にCPIを算出しています。
通常、担当職員が1週間おきに市場を訪れ、直接市場に出回っている財やサービスの価格を調査しています。
しかし、感染症拡大の影響による都市封鎖(ロックダウン)により、直接訪問することができないため、ロックダウン期間中は、電話による聞き取り調査を行っています。
また、ロックダウン中は、臨時休業をしている事業者も多いため、2020年6月期には、1,030の都市部の市場と998の農村部の市場からしか情報を収集することができませんでした。
4. インド・CPIの動向
以下のグラフは、インド・消費者物価指数の前年比を示すグラフです。

2020年1月の消費者物価指数は、前年比+7.59%と大きく飛躍しましたが、翌月の2月には、飲食料品の物価上昇に歯止めがかかったことを背景に、CPIは7ヶ月ぶりの前年比減となりました。
また、インドでは、3月後半に実施されたロックダウンの影響で、十分なデータを収集できていないため、3月〜6月の結果は、十分なデータがないまま算出されております。
5. まとめ
インド・CPI | |
公表機関 | インド統計局(NSO) |
公表日 | 毎月中旬 |
概要 | インド国内における物価 変動率を示す指標。基準年 を100(200年現在)とした 指数と、前月比や前年比 などで結果が示される |
算出式 | 前回の物価指数× (今回の結果÷前回の物価指数) |
特徴 | バスケットに占める飲食物 の割合が45.86%と高め |
6. 情報の信頼性
本記事の作成にあたって、以下の文献を参考にしました。指標の説明部分に関しては、主にインド政府が公表している資料を基に作成しております。
・COMPILATION OF CONSUMER PRICE INDEX: – A TECHNICAL NOTE -NSO
インドでは元々、卸売物価指数(WPI)を、物価水準を示す主要な指標としてきました。しかし、2013年にインド政府は、CPIをインフレ率を示すメイン指標として位置づけました。