アメリカはなぜ貿易赤字なのか??国際貿易収支から垣間見えるアメリカの貿易事情

米国・国際貿易収支とは、米商務省経済分析局(BEA)が、財やサービスの輸出額から輸入額を差し引き、差額を算出する経済指標です。貿易収支の増減は、為替レートに影響を及ぼすため、市場からの注目度も高い指標となっています。

また、以下の式にある通り、貿易収支は、GDPの計算要素の内の1つとなっているため、貿易赤字の赤字拡大(輸出より輸入の方が多い状況)は、GDPの縮小に直接繋がります。

GDP算出式
GDP=C+I+G+(X-M)
C:国民消費、I:民間投資、G:政府支出
X:輸出、M:輸入


しかし、貿易赤字の赤字幅が拡大したからと言って、必ずしもGDP全体が負の方向に動くとは限りません。


その理由としては、米国が輸入しているのは、最終財だけではなく、原材料や部品も輸入しているからです


そのため、輸入が増えれば増えるほど、仕入れコストの減少が見込め(安く仕入れる国から大量に購入することによって)、企業の儲けが増加し、結果的に民間投資額(I)の増加に繋がったり、その儲け分を社員の給料に反映されることによって、消費(C)の増加に繋がったりする可能性もあります。

従って、貿易赤字の拡大は、直接的にGDPの減少に繋がりますが、間接的に民間投資や国民消費の増加に繋がり、GDPの増加に繋がる可能性もあるのです。

この記事を読むメリット&読了までの所要時間目安

得られる知識
・米国際貿易収支について
・米国が貿易赤字である原因
・原文に出てくる英単語
・米国際貿易収支の動向
読み終わるのにかかる時間目安
・約4分


1. そもそも、なぜ米国は貿易赤字なのか?

米国は、1970年から赤字が恒常化していますが、そもそもなぜ、米国は貿易赤字なのでしょうか?

この問に対する答えについては、諸説ありますが、考えられる主な理由は、下記の3つです。

米国が貿易赤字になる理由
①米国国民による莫大な個人消費
②国際信用度の高まりによる通貨高
③生産コストの増加による競争力の低下


① 米国国民による莫大な個人消費

1つめの理由として考えられるのは、個人消費の旺盛さによる輸入額の増加です。

米国の個人消費は、GDP全体の約7割を占めており、日本で約6割、中国で約4割だということを考えると、如何に個人消費が旺盛であるか伺えます。

そのため、輸入規模がどうしても大きくなってしまい、貿易赤字に陥ってしまうのです。

実際、消費が落ち込んだリーマンショック後の2009年2月には、米貿易収支は、-261億ドルとなり、前月より100億ドル近く赤字幅が縮小する結果となりました。

これは、2018年の貿易赤字の水準が、523億ドルだと考えると、個人消費が貿易赤字幅の拡大・縮小に大きな影響を与えていることが分かります。


② 国際信用度の高まりによる通貨高

2つめの理由として考えられるのは、米ドルは国際的な信用度が高いため、通貨高になりやすいからです。

ドルは、基軸通貨としての役割があり、国際貿易の世界においては、ほとんどがドル決済となります。そのため、米ドルの資金需要は高くなりやすく、ドル高になりやすい傾向にあります。

そして、ドル高になれば、輸出コストが相対的に上昇(輸入コストは低下)するため、輸出減&輸入増になり、貿易赤字の赤字幅が拡大するのです。


③ コストの増加による競争力の低下

3つめの理由として考えられるのは、米国のような先進国では、賃金などの生産コストが高いため、財やサービスの価格が高くなりやすく、製造業を始めとして、国際競争力が低下していることが挙げられます。

そのことが、輸出減・輸入増を招き、貿易赤字が拡大するのです。

2. 米国・国際貿易収支の英文読み解き

ここでは、米商務省経済分析局(BEA)が実際に公表する「米国・国際貿易収支」のレポート中に出てくる重要英単語や英文の解説をしていきます。

また、最新結果へのアクセス方法も併せて紹介していますので、今回紹介した英単語や英文を参考にして、読んでみてください。


国際貿易収支の最新結果にアクセスする方法

まずは、米商務省経済分析局(BEA)が公表する米貿易収支の最新結果が見れるページへのアクセス方法を説明します。

最新結果へのアクセス手順は、以下の通りです。

最新結果へのアクセス方法
経済分析局(BEA)のホームページへ 飛ぶ
② International Trade in Goods 〜を押下
③ Current Releaseを押下

ざっくりとした手順は以上です。もう少し、詳細に説明すると、まずで、米商務省経済分析局(BEA)のホームページに行き、下にスクロールすると、「International Trade in Goods & Services」と書かれている項目がありますので、それを押下します。

で、「International Trade in Goods & Services」を押下すると、国際貿易収支について記載されているページに飛びますので、そのページにある「Current Release」と書かれているところをクリックします。

そうすれば、「Explore Product View」や、「New Release」と書かれているタブのあるページに行くことができます。

「Explore Product View」や、「New Release」ダブに書かれている内容については、以下にて説明していきます。


– Explore Product View

「Explore Product View」のリンクをクリックすると、直近でリリースされた最新結果の概要を確認することができます。

ここでは、前月の結果と比較して、今月はどうだったのか、何が主な原因でその結果になったのか、について記載されています。

例えば、英文を一部抜粋して説明すると、

The deficit decreased from $45.5 billion in January (revised) to $39.9 billion in February, as imports decreased more than exports.

出典: 米商務省経済分析局(BEA)

“The deficit 〜 in February”までが、前月と比較してどうだったのかについての説明で、as(〜ので)以降が、その結果になった原因となります。

尚、上記1文を和訳すると、「輸入額の減少幅が、輸出額の減少幅を上回ったため、-455億ドル(改定値)だった赤字幅が、2月には-399億ドルと縮小しました。」となります。

この1文にでてくる英単語や英表現は、他の海外の経済指標を見ていても、よく目にしますので、覚えておくことをオススメします。

重要英単語&英表現
The deficit 赤字
decrease from 〜 〜から減少する
billion10億 
revised 改定値
as 〜 〜ので
import 輸入
export 輸出
more than 〜 〜以上に


そして、上記の英文の後には、財とサービス別の貿易収支の結果について記載されています。

The goods deficit decreased $5.9 billion in February to $61.2 billion. The services surplus decreased $0.4 billion in February to $21.3 billion.

出典: 米商務省経済分析局(BEA)

“The goods 〜 ”の部分が、財の貿易収支の結果について、“The services”の部分が、サービスの貿易収支の結果について記載されています。

尚、上記1文を和訳すると、「財の貿易収支の赤字幅は59億ドル縮小し、2月には、-612億ドルとなりました。また、サービス収支の黒字幅は、4億ドル縮小し、2月には、+213億ドルとなりました。」となります。

ここで、新しくでてきた重要英単語は、「surplus: 黒字」くらいだと思います。その他は、上述した”重要英単語&英表現”を参考にしていただければと思います。

以上が、「Explore Product View」 に記載されている内容となります。続いては、「New Release」タブの概要を見ていきます。


– New Release

「New Release」タブには、最新結果の詳細について長々と記載されています。ここでも、英単語を複数ピックアップしましたので、以下にて紹介していきます。

Exports, Imports, and Balance
・輸出と輸入のバランスについて

Three-Month Moving Averages
・3ヶ月の移動平均

Exports
・輸出

Imports
・輸出

Real Goods in 2012 Dollars 
・2012年の物価水準での貿易収支

Revisions
・改定値

単語 和訳
Industrial supplies and materials 工業備品&製品
fuel oil 重油
Automotive vehicles, parts 自動車、部品
Travel 旅行
transport  輸送
petroleum products 石油製品


3. 米国・国際貿易収支の推移


以下は、米商務省経済分析局(BEA)が公表しているデータを基に作成した、米国・国際貿易収支の推移です。

参考元: アメリカ・貿易収支みんかぶ

2018年の貿易赤字の水準が、523億ドルということを考慮すると、2019年度から2020年度にかけては、非常に低い水準で推移していることが分かります。

実際、2019年度の通期は、約6年振りに赤字幅が縮小しました。トランプ大統領による、中国への追加関税政策により、中国からの輸入が減少したことが要因です。

また、2020年2月には、新型コロナウイルス感染拡大により、国内消費が落ち込み、貿易赤字の赤字幅が、400億ドルを割り込む結果となりました。

このように、GDPの約7割を個人消費が占めるアメリカでは、国内消費の落ち込みは、輸入額の減少に直結し、結果的に貿易赤字の縮小に繋がります。


4. まとめ

米国・国際貿易収支
概要 財やサービスの輸出額から
輸入額を差し引き、差額を
算出する指標。貿易収支は、
GDPの構成要素となって
いるため、注目度は高め
公表日 毎月始め
公表機関 米商務省経済分析局(BEA)
貿易赤字の原因 ①莫大な国内需要
②通過高
③競争力の低下

☆ その他の参考文献

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