英中銀 金融政策委員会(MPC)決定会合について徹底解説!!金融政策の決定プロセスから他国との比較まで。

英国中銀・金融政策委員会決定会合(MPC)とは、年に8回(6週間に1回程)開催され、金融政策に関する方針や政策金利について議論される会合です。

金融政策委員会(MPC)は、英中銀内部の委員5名と4名の外部委員の合計9名で構成され、9名のメンバーは、金融政策の方針決定にあたって、複数回会合を開き、現在の経済状況について議論します。

また、各メンバーはそれぞれ投票権を有しており、1票の重みは同等で、その投票権に優劣はありません。そのため、金融政策の方針や政策金利の決定は、単純多数決で決定されます。

ハリネズミ
軽くまとめると、こんな感じかな。

英国・金融政策決定会合(MPC)のポイント
・年に8回開催される
・金融政策の方針や政策金利の水準を決める
・9名のメンバーの単純多数決で政策決定

金融政策って何をするの? ~ 英中銀が行う金融政策について

金融政策は、市場に出回る資金の供給量を調整し、物価の安定、ひいては経済の安定を図るために実施されます。イングランド銀行(BOE)が、実際に使う金融政策の主なツールは、以下の通りです。

金融政策の主なツール
①政策金利の決定(水準の上げ下げ)
②公開市場操作


①政策金利の決定

そもそも政策金利とは、何の金利のことを指すのでしょうか?これは、その国が何の金利を政策金利とするかによるため、国によって異なります。英における政策金利とは、民間銀行がイングランド銀行(英の中央銀行)から借りる際の金利(Bank Rate)のことを指します。

このように、政策金利とは、その国の中央銀行が金融政策のターゲットとする金利のことを指します。

赤ちゃん
イングランド銀行が政策金利であるBank Rateを引き下げると市場にどんな影響を与えるの?
ハリネズミ
まず、政策金利が下がると、英の中央銀行であるイングランド銀行から、民間銀行がお金を借りる際のコストが減少するのは分かるかな?
赤ちゃん
うん。お金を借りる際の金利が下がるから、より低コストでお金を借りられるってことだね!
ハリネズミ
その通り。それに伴い、中央銀行からお金を借りやすくなり、民間銀行が企業や一般市民に貸し出す際の金利も低下するんだ。そして、企業や一般市民は、金利が下がったことにより、今のうちに借りておこう!となって、借りる人が増え、市中に出回る資金量が増えるよ。
赤ちゃん
なるほど!金融機関が、中央銀行からお金を借りる際のコストが少なくなるから、民間に貸し出す際の金利も低く設定するようになり、市場に出回る資金の量も増加するんだね。

要するに、、、

政策金利⬇️→民間銀行が中銀から借り入れる際のコスト⬇️→企業などへ貸し出す際の金利⬇️→資金需要⬆️→市中に出回る資金量⬆️


赤ちゃん
逆に、Bank Rateを引き上げると市場にどんな影響を与えるのかな?
ハリネズミ
政策金利を引き下げるた場合と、まったく逆のことが起きるよ。
ハリネズミ
政策金利が上がると、民間銀行がイングランド銀行からお金を借りる際のコストが増加。それに伴い、中央銀行からお金を借りにくくなり、民間銀行が企業や一般市民に貸し出す際の金利も上昇。企業や一般市民は、金利が上がったことにより、借入を渋るようになり、市中に出回る資金量が減少するんだよ。

要するに、、、

政策金利⬆️→民間銀行が中銀から借り入れる際のコスト⬆️→企業などへ貸し出す際の金利⬆️→資金需要⬇️→市中に出回る資金量⬇️


②公開市場操作

中央銀行が、市中に出回る資金量を調整する手段の一環として、公開市場操作といったような手法も使われます。

公開市場操作
公開市場操作とは、中央銀行が国債や社債などの売買を行うことによって、市中に出回る資金量を調整し、物価や経済の安定を図る手法です。中央銀行が、民間の金融機関から国債などを買い入れることを「買いオペレーション」、反対に、国債などを民間の金融機関に売ることを「売りオペレーション」と言います。

買いオペレーション
買いオペレーションとは、民間の金融機関から国債や社債などの有価証券を購入することを指します。中央銀行は有価証券購入の際、新規で発行した貨幣で支払うため、買いオペレーションを実施することによって、市中に出回る資金量は増加します。

売りオペレーション
売りオペレーションとは、民間の金融機関に国債や社債などの有価証券を売ることを指します。民間銀行は、中央銀行から国債などの有価証券を購入するため、手持ち資金量が少なくなり、市中に出回る資金量も必然的に減少します。


ハリネズミ
以上が、イングランド銀行が行う金融政策についてだよ。


このように、英・中央銀行は、①政策金利の上げ下げ②公開市場操作 を通して、市中に出回る資金量を調整し、物価の安定や経済の安定成長を目指しているのです。

尚、イングランド銀行が定めている インフレーション目標は2%であるため、物価上昇率が2%付近となるよう金融政策が行われます。

また、金融政策が、実際の経済状況に影響を与えるのに、約2年ほどかかることもあるため、今後のインフレ率の推移や経済成長を加味して金融政策を決定していくことが重要となります。

金融政策は、どういった流れで決定されるのか?

金融政策委員会(MPC)が開催されるまでの流れや、開催後に声明文が公表されるまでの流れは、以下の通りです。このようにして、英国では、金融政策の方針や政策金利が決定されます。

金融政策決定〜公表までの流れ
① Pre-MPC meeting

② First meeting

③ Second meeting

④ Final meeting

⑤ MPC announcement

① Pre-MPC meeting

イングランド銀行のメンバーが、直近の経済状況や企業のビジネス状況についての概要を伝え、議論のたたき台の準備をします。

First meeting

委員会のメンバーが最近の経済状況についての議論を行います。この会議は、英・金融政策委員会(MPC)の声明文が発表される1週間前の木曜日に開かれるのが慣例です。

Second meeting

First meetingでの議論を基に、どういった金融政策を取るべきかの討論を行います。この討論会は、声明文が発表される週の月曜日に開かれるのが慣例です。

Final meeting

議長が、実施するべきだと考える金融政策についての提案をします。その後、総裁以外の各メンバー(8)による投票が実施され、多数決により政策金利や金融政策の方針が決定されます。もし、賛成と反対が同数だった場合、総裁が票を投じ決定されます。この政策決定会合は、声明文が発表される週の水曜日に開かれます。

MPC announcement

政策決定会合での決定事項を公表します。基本的に、木曜日の正午12:00に公表されます。


    他国の金融政策との違い

    ハリネズミ
    MPC(英国)とFOMC(米国)&MPM(日本)と比較した、各国の金融政策決定会合の枠組みの違いは以下の通りです。日本銀行が公表しているデータを基に作成しました。


    MPC FOMC MPM

    会合の名称

    金融政策
    委員会
    連邦公開
    市場委員会
    金融政策決定会合

    開催頻度 年8回 年8回 年8回
    会合の構成 総裁
    副総裁3人
    理事1人
    委員4人
    議長
    副議長2人
    理事4人
    地区連銀総裁5人
    総裁
    副総裁2人
    審議委員6人
    議事録要旨の公表 政策決定と同時 3週間後   次回会合の    3営業日後

    参考元: 米国や欧州の金融政策決定会合の枠組みや政策金利の推移を教えてください。日本銀行


    赤ちゃん
    開催頻度は、どの国も同じだね。でも、議事要旨を公表するタイミングに大きな違いがあるね。

    上記で説明したFOMCについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェック!!

    世界で最も注目される金融政策委員会。米連邦公開市場委員会 (FOMC) の全て。


    英国政策金利の推移 〜 米FF金利との比較

    ハリネズミ
    ここでは、参考がてら、米国のFF金利と英国のBank Rateを比較していくよ。

    英・政策金利推移
    2019年
    1度も利下げを実施せず、0.75%で据え置き

    2020年
    3月に0.5%の緊急利下げを満場一致で決定

    VS

    米・政策金利推移
    2019年7月
    政策金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、
    2.25%へ。米中貿易摩擦&世界的な経済成長鈍化が背景。

    2019年9月
    7月の利下げに続き、025ポイントの利下げ。
    米中貿易摩擦による不確実性の高まり&エネルギー価格上昇による物価上昇が背景。

    2019年10月
    9月に続き、2ヶ月連続で0.25ポイントの利下げを決定。市場の事前予想通りの結果となった。

    2020年3月
    3日に緊急利下げを発表。0.5ポイントの利下げを決定。3月18日、19日にも1ポイントの追加利下げの可能性?


    以下のグラフは、上述した英国の政策金利と米国の政策金利(FF金利)の動向をグラフ化したものです。

    参考元: 英国中銀政策金利FRB政策金利 – みんかぶ

    米中央銀行は、2019年7月に開かれたFOMCにて、政策金利の誘導目標を0.25ポイント下げ、2008年12月以来の利下げを決定しました。その後、9月10月と続くFOMCでも、米中貿易摩擦や世界経済の成長鈍化を背景に0.25ポイントの利下げを決定しました。

    それに比べて、英中央銀行は、1度も利下げを実施させず、2019年度を終えました。

    しかし、2020年3月の金融政策委員会(MPC)では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、満場一致で0.5%の緊急利下げを実施しました。また、米中央銀行(FRB)も、3月3日に、政策金利の誘導目標を0.5%下げる緊急利下げを発表しました。



    ☆まとめ

    英国・金融政策委員会
    概要 年に8回開催され、
    今後の金融政策に関する
    方針や政策金利の水準に
    ついて議論される会合。政策の方針は、単純多数決で決まる。
    構成 総裁+副総裁(3)+理事(1)+委員(4)
    金融政策 ①政策金利の上げ下げ
    ②公開市場操作
    議事要旨の公表 政策決定と同時タイミング
    金融政策の目的 物価の安定を図り、経済を安定させ
    ること

    ☆情報の信頼性

    本記事を作成するにあたって参考にした文献は、以下の通りです。

    MPCについてや、政策金利決定までの流れについては、英国の中央銀行が公表している文献①の資料を参考にさせていただきました。また、英国の政策金利の推移に関しては、文献②と③を参考にしてとります。

    その他の参考文献に関しては、記事中にリンクを貼っておりますので、気になる方はそちらもご確認ください。

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