オーストラリアの金融政策について知りたい方必見!!金融政策決定プロセスから政策金利の推移まで幅広く解説!

オーストラリアの金融政策は、RBA金融政策決定会合と呼ばれる会合で決定されます。この会合は、RBAの総裁、副総裁、委員7名の計9名で構成されており、毎月第1火曜日に開催されます。

*1月の夏休み期間は開催されないため、年間で11回の開催。

尚、議事録の公表は、会合が開催されてから2週間後の第3火曜日です。


赤ちゃん
金融政策決定会合の開催頻度が、他国と比べて多い気が…
ハリネズミ
その通り。米国のFOMCや英国のMPC、日本のMPMと比較すると、開催頻度は多いよ。詳しくは、以下の記事の「他国の金融政策との違い」の欄を読んでみてね。

英中銀 金融政策委員会(MPC)決定会合について徹底解説!!金融政策の決定プロセスから他国との比較まで。


金融政策決定会合についての説明は、以上です。これ以降では、金融政策決定までのプロセスや政策金利、そもそもなぜ金融政策をするのか?、何を目標として金融政策をしているのか、などについて説明してますので、興味のある部分だけ、読んでいただければと思います。

この記事を読んで得られる知識

得られる知識
・金融政策決定プロセスについて
・RBAの政策金利の詳細
・金融政策の目的
・インフレターゲットの詳細

読み終わるのにかかる時間目安
・3〜4分


1. 金融政策が決定されるまでのプロセス

オーストラリア準備銀行(RBA)が、金融政策や政策金利を決定するまでの大まかなプロセスは、以下の通りです。


会合の開催から声明文の公表までの流れ
①経済状況や金融市場に関する報告書を準備
②会合では、報告書をたたき台として議論
③会合終了後、声明文公表


まず、金融政策決定会合に向けて、事前に準備銀行の職員が、国際経済や国内の経済状況、金融市場の動向についての報告書を準備します。*その報告書の中には、金融政策金利の方針についての提案も記載されています。

そして、金融政策決定会合では、準備銀行のベテラン職員がその議論に参加し、報告書についてのプレゼンを行います。

その後、報告書の内容をたたき台として、今後の金融政策の方針や政策金利について議論を実施し、最後に、金融政策決定会合にて決定された事項を、声明文として、公に公表します。

以上が、オーストラリア準備銀行(RBA)が、金融政策決定会合にて、金融政策や政策金利を決定するまでのプロセスです。


2. RBAにおける政策金利とは?

そもそも、政策金利とは、金融政策を行うに当たって、中央銀行が重要視する金利のことを指します。

何を政策金利とするかは、国によって異なります。例えば、日本では無担保コールレート翌日物、米国ではFF金利、南アフリカではレポ金利を政策金利としています。

オーストラリア準備銀行(RBA)の場合は、オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を政策金利としています。

オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)とは、銀行間取引の際に課される金利です。

借りた翌日に返済する際に適用される金利であるため、「翌日物貸出金利」とも言われます。

政策金利は、市場からの注目度が非常に高い金利です。政策金利が、事前の市場予想と異なった結果になった時は、市場からサプライズとして受け止められ、相場が大きく動くこともあります。


3. 政策金利は、なぜ重要なのか?

ではなぜ、政策金利は市場からの注目度が高く、重要視されるのでしょうか?端的に言うと、政策金利であるOCRは、他の金利に強い影響をあたえるからです。

例えば、以下のグラフをご覧下さい。

以下のグラフは、OCRの推移()と、オーストラリア3ヶ月物国債()と6ヶ月国債()の利回りの推移を示したグラフです。


このグラフを見ると、3ヶ月物国債と6ヶ月物国債の金利は、政策金利であるOCRの金利と、非常に高い連動性があることが分かります。

このグラフの例では、3ヶ月物国債と6ヶ月物国債を例に用いりましたが、金融システムの仕組み上、ほとんどの金利は、政策金利に影響を受けるようになっています。

従って、政策金利の変動は、他の金利に効果が波及するため、市場関係者の関心をひくものとなっています。


4. 金融政策の目的

オーストラリア中央銀行(RBA)のホームページによると、RBAが行う金融政策の目的は、以下の通りです。

金融政策の目的
①通貨の安定
②雇用の安定
③経済の発展と国民の幸福 


また、オーストラリア中央銀行(RBA) は、上記3つの目的を達成するために、インフレ目標(年率2〜3%)を設けています。物価を安定させることができれば、通貨や雇用の安定、引いては経済の安定成長につながるからです。

そして、物価を適切な水準で安定させるため、中央銀行は、金融政策を行っています。


以上をまとめると、


金融政策の目的まとめ

目的:
①通貨の安定
②雇用の安定
③経済の発展と国民の幸福

上記、3つの目的を達成するためには?
→物価を適切な水準で安定させる必要

物価を適切な水準で安定させるためには?
→金融政策

このように、金融政策の目的は、「物価を適切な水準で安定させること」ですが、それは最終的な目的ではありません。

物価を安定させる事を通して間接的に、①通貨の安定 、②雇用の安定、③経済の発展と国民の幸福の3つの目的を達成するため、金融政策は行われているのです。


5. RBA 〜 インフレターゲットのあれこれ


この項では、金融政策決定会合で、最も意識されると言っても過言ではない「インフレターゲット」について、その歴史も踏まえて詳しく見ていきます。


5-1. インフレターゲット導入までの流れ

オーストラリア中央銀行(RBA) は、はじめからインフレターゲット(インフレ目標)をベースとした政策運営をしていた訳ではありません。

実際、1980年代前半までは、インフレターゲットではなく、マネーサプライ(通貨供給量)を中間目標とした金融政策の運営が行われていました。

しかし、マネーサプライとインフレ率の関係が不安定なものとなり、85年に廃止。代替的な枠組みを模索していたところ、1992年〜93年に、インフレ率が2%〜3%に低下。十分にインフレ率が低下したと判断したFracer総裁は、当時のインフレ率をそのままインフレターゲットとして、政策運営を行う旨を表明しました。

このFracer総裁による93年の意思表明をもって、オーストラリア中央銀行(RBA)にインフレターゲットが導入されました。

それ以降、現在に至るまで「インフレ目標2%〜3%」というのは一度も変更されておりません。


5-2. なぜ、2%〜3%なのか?

日本銀行が公開している「諸外国におけるインフレ・ターゲティング」によると、2%という値に必ずしも明確な定量的な根拠が示されている訳ではありません。

しかし、オーストラリアのようなインフレターゲティング採用国では、元々高いインフレ率を経験していたため、一定範囲内にインフレ率を抑えるといった意味では、インフレ率抑制を目指しているオーストラリア中央銀行(RBA)の運営方針と、整合性は取れていると言えます。

その上、他の先進国でも、概ね2%をインフレターゲットの目標としている国がほとんどであったため、他国の例を勘案した結果、「2%〜3%」というインフレターゲットを導入したという経緯があります。

従って、インフレ率2%〜3%が最適であるという定量的な根拠が厳格に示されている訳ではありませんが、他国の例や自国のインフレ率の推移を鑑みた結果、「インフレターゲット2%〜3%」という目標を導きだしたのです。


5-3. インフレターゲットについてより詳しく

オーストラリア中央銀行(RBA)がインフレターゲットとして特に意識しているのは、刈込平均と加重平均の単純平均値である「基調インフレ率」の前年比です。

CPIの刈込平均、荷重平均、基調インフレ率に関しては、以下記事参考。

オーストラリア経済の体温計。豪・消費者物価指数(CPI)について知ろう!!


また、「インフレターゲット2%〜3%」というのは、一定の具体的な期間においての平均ではなく、インフレ率の下限と上限を設定するものでもありません。

あくまでも、中期間の目標として、大体2%〜3%のレンジ内でのインフレ率を目指して、金融政策を実施していくといったニュアンスです。


6. RBA政策金利の推移


この項では、毎回の金融政策決定会合でのメイントピックとなる「政策金利」の推移について見ていきます。

以下のグラフは、オーストラリア中央銀行(RBA)が政策金利としているオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)の推移を示しています。



2019年6月

2年10ヶ月ぶりの利下げを決定。2016年8月以来、1.50%で据え置きしていた政策金利の誘導目標を、1.25%へ引き下げました。

2016年以降、物価上昇率(刈込平均)は、RBAがインフレターゲットとしている2%3%の範囲に届かず、低水準で推移していたことに加え、米中貿易摩擦により、オーストラリア最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念を背景に、利下げに踏み込みました。

2019年7月
前回に引き続き、2会合連続の引き下げ。前回同様0.25ポイント引き下げ、誘導目標を1.0%とすることを決定しました

議事要旨では、「より低い金利は国民のためにさらなる雇用を生み出し、インフレ目標に向けたより確実な進展を後押しする」と指摘。インフレ目標の達成と、雇用創出を狙った引き下げとなりました。

2019年10月
労働市場と物価水準の状況を考慮し、誘導目標を1.0%から0.75%へ引き下げ。

オーストラリア中央銀行(RBA)は、雇用の拡大や賃金の上昇、中期的なインフレ目標の達成を後押しするために、利下げに踏み込んだと説明しています。

2020年3月
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、経済を下支えるために、0.75%から0.5%への利下げを決定。

2月28日に、FRBが追加の利下げを示唆する緊急声明文を公表したことを受け、オーストラリア中央銀行(RBA)も利下げを実施する公算が高まっていました。

2020年3月19日
同月2度目の利下げ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、臨時の金融政策決定会合を開き、追加利下げを決定しました。

今回の利下げで、誘導目標を0.5%から過去最低 0.25%へ引き下げました。


2020年4月以降の、オーストリア中銀・金融政策決定会合の最新結果を追いたい方は、以下をご確認ください。毎月更新しております。


7. まとめ

豪・金融政策決定会合
概要 金融政策の方針や政策金利
を決定する会合。開催日から
2週間後の第3火曜日に議事録
が公表される。
公表日 毎月第1火曜日
公表機関 豪・中央銀行(RBA)
構成 RBAの総裁
副総裁
委員7名
計9名
年開催数 11回
政策金利 OCR
プロセス ①報告書を準備
②報告書をたたき台として議論
③会合終了後、声明文公表
金融政策の目的 ①通貨の安定
②雇用の安定
③経済の発展と国民の幸福

☆ その他の参考文献

本記事中にリンクを貼った文献以外で、参考にさせていただいた文献は以下の通りです。

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