インド・インフラ生産高(Index of Eight Core Industries =ICI)とは、インド国内における石炭、原油、天然ガス、石油製品、化学肥料、鉄鋼、セメント、電力の8つの中核事業の生産高を示す経済指標です。
インド経済顧問局によって、毎月末に前月の結果が公表され、結果は、2011年〜2012年を基準年(2020年現在)とした指数と、前月比・前年比で示されます。
後ほど詳しく説明しますが、本指標に含まれる8つの事業は、鉱工業生産指数に占める割合が大きく、その先行指標としての役割があるため、重要度の割には注目度の低い指標だと言えます。
目次
1. ICIは鉱工業生産指数の先行指標!?
インドインフラ生産高(ICI)は、日本語で調べても全くと言っていいほど情報が無い経済指標ですが、その割には重要度の高い指標だと言えます。
その主な理由としては、ICIが鉱工業生産指数の先行指標であるからです。次の項で説明しますが、ICIの調査対象である8つの事業の生産高は、鉱工業生産指数(IIP)の約4割のウエイトを占めています。
その上、本指標は、鉱工業生産指数の約12日前に公表されるため、ICIは鉱工業生産指数の重要な先行指標とされているのです。
2. ICIが鉱工業生産指数に占める割合
先程軽くふれましたが、ICIの8つの事業が、鉱工業生産指数の結果に占める割合は高く、インド政府が実際に公表している資料によると、実に40.27%(2011年〜2012年の基準年)にものぼります。
8つの事業別の詳細な割合は、以下の通りです。
8つの事業 | IIPに占める割合 (2011年〜2012年) |
石炭 | 4.1609% |
天然ガス | 2.7690% |
原油 | 3.6172% |
石油製品 | 11.2896% |
化学肥料 | 1.0580% |
鉄鋼 | 7.2143% |
セメント | 2.1631% |
電力 | 7.9940% |
合計: | 40.2660% |
*出典元: A Note on Index of Eight Core Industries (ICI), Base year 2011-12
また、8つの事業が鉱工業生産指数に占める割合は、1993年〜1994年(26.68%)、2004年〜2005年(37.902%)、2011年〜2012年(40.27%)と、基準年が改定される度に増加する傾向にあります。
3. ICIはどのようにして算出されるのか?
ICIは、固定バスケット方式を採用しており、計算式に含まれる8つの事業の割合は、上で説明した鉱工業生産指数に占める割合に応じてウエイト付けされます。
ウエイト付けの詳細は、以下の通りです。ICIは以下の割合で、8つの事業の生産高をウエイト付けし、基準年を100とした結果を算出しています。
8つの事業 | ICIに占める割合 |
石炭 | 10.3335% |
天然ガス | 6.8768% |
原油 | 8.9833% |
石油製品 | 28.0376% |
化学肥料 | 2.6276% |
鉄鋼 | 17.9166% |
セメント | 5.3720% |
電力 | 19.8530% |
合計: | 100.0000% |
*出典元: A Note on Index of Eight Core Industries (ICI), Base year 2011-12
また、ICIの計算式に使われるデータは、JPCや鉄鋼省などの6つの政府組織から提供されたデータを使用しているため、信用力も高めだと言えます。
4. インド経済顧問局が公表する最新結果資料へのアクセス方法
インド・インフラ生産高(ICI)の最新の原文資料は、インド経済顧問局(OFFICE OF THE ECONOMIC ADVISER)のホームページから確認できます。
アクセス手順詳細は、以下の通りです。
③の手順でPress Releaseを押下すると、ICIの最新情報が記載された数ページ程のPDFを閲覧することができます。ページの後半は、ほぼグラフだけのページになっており、指標全体の最新結果について記載されているのは、1ページ目だけです。
5. 重要指標英単語
ICIの最新結果資料中にでてくる重要英単語や英表現を紹介しています。上述した通り、最新情報は主にPDF1ページ目に記載されているため、そこででてきやすい英単語&英表現をメインに載せています。
単語 | 意訳 |
growth rate | 成長率 |
decline by 〜% | 〜%減少する |
compared to 〜 | 〜と比較して |
in previous month | 前月の |
revised at 〜% | 〜%に改定された |
monthly | 月次の |
6. ICIのこれまでの動向
以下のグラフは、ICIの2019年5月以降の推移です。現在の基準年である、2011年〜2012年を100として、結果が示されています。

2019年5月以降、安定的に推移していたICIは、ロックダウンを背景に、2020年4月には、前月比37.0%減を記録し、2005年以降で最大の下落幅となりました。
その後、4月には100代に回復しましたが、前年比では-23.4%と依然弱い水準です。
7. まとめ
インドインフラ生産高(ICI) | |
公表機関 | インド経済顧問局 |
公表日 | 毎月末 |
指標概要 | インド国内における主要8事業 の生産高を算出した指標。 基準年を100とした指数や、 前月比・前年比などといった形 で結果が公表される。 |
主な特徴 | 鉱工業生産指数の先行指標 基準年も、鉱工業生産指数に 連動している |
ICIの基準年は、鉱工業生産指数の基準年を基に決定されるため、鉱工業生産指数の基準年が変更されれば、それに伴いICIの基準年も変更されます。従って両者は、同期間の基準年を採用しているのです。