徹底解説!!市場の割高&割安のモノサシ、バフェット指数とは?

1.バフェット指数とは?

バフェット指数とは、GDPに占める株式の時価総額の比率を示す指標です。


以下の計算式の通り、ある国の「GDP」とその国の「全発行済み株式の時価総額」が同じであれば、バフェット指数は100となります。


バフェット指数当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100

 

バフェット指数の目安としては、50~70が「バリューゾーン」と言われ、国内の時価総額がその国のGDPの50%~70%付近であれば、株式が割安であるとされています。


また、バフェット指数が100を超えると、当該国の時価総額がその国のGDPを上回っているということになるため、株式が割高であるとされています。


ただし、後ほど「バフェット指数はきちんと機能しているのか??」のところで説明させていただきますが、バフェット指数が長期間100を超えているのにも関わらず、株価が上昇し続けることもあるため注意が必要です。


リスくん
日本における「全発行済み株式の時価総額」は日本取引所グループのホームページ内にある「その他統計資料 | 日本取引所グループ 」から確認できます。

 

赤ちゃん
米国では、「全発行済み株式の時価総額」の算出に「ウィルシャー5000(Wilshire 5000 Total Market Index)」という指標が採用されているよ!

ウィルシャー5000
米国を代表する株価指数の1つであり、米国に拠点を置く全ての企業を対象とした株価指数です。指数の算出には、「時価総額加重平均」を採用しており、時価総額の大きい企業ほど指数への寄与度が大きい株価指数となっております。米国におけるバフェット指数は、このウィルシャー5000指数の対象となっている企業の時価総額を、米国内における「全発行済み株式の時価総額」としております。

2.バフェット指数のチャートをリアルタイムで確認する方法

日本版と米国版バフェット指数のリアルタイムチャートは、以下のサイトから確認することができます。


また、リアルタイムだけではなく、バフェット指数の過去動向もチェックできる点がポイントです。


3.本当にウォーレンバフェット氏が愛用している指標なのか?

バフェット指数は、その名前が示す通り、あの投資の神様「ウォーレン・バフェット」氏が株式の割高・割安を判断する際に使用している指標とされています。


実際、2001年に実施されたフォーチュンのインタビューで、株式の時価総額を国内のGNP(国民総生産)と比較することについて以下のように言及しています。

The chart shows the market value of all publicly traded securities as a percentage of the country’s business–that is,
as a percentage of GNP.

The ratio has certain limitations in telling you what you need to know.
till, it is probably the best single measure of where valuations stand at any given moment.

And as you can see, nearly two years ago the ratio rose to an unprecedented level.
That should have been a very strong warning signal.

出典: 2001年フォーチュンのインタビュー記事より引用 – December 10, 2001 (fortune.com)

和訳*文脈を考慮して意訳
そのチャートは、国内に上場している全株式の時価総額が、国民総生産(GNP)の何%を占めているかを示すチャートです。

その比率は、あなたが知るべきことを教えてくれる比率であり、株式を評価するにおいてベストな指標であると言えるかもしれません。

実際、国民総生産(GNP)に対する全上場株式の時価総額の比率をみてみると、約2年前(ITバブル期)は、前例のないほどにまで高騰していたことが分かります。

そのことが、バブル崩壊を示す危険信号だったのです。


このフォーチュンのインタビュー記事が示す通り、実経済での総生産額に対する国内株式の時価総額の比率を示す指標は、株式市場を評価する上でベストなシグナルになり得ると述べています。


*バフェット指数は「株式の時価総額÷GDP×100」で算出されますが、インタビュー記事によると、バフェット氏はGDPではなく、GNPと国内株式の時価総額を比較しています。


GDPとGNPの違いは?
GDP(国内総生産)は、国内における総生産額を示しており、日本のGDPと言えば、日本国内(外国人を含む)で生産されたものやサービスの合計額で算出されます。

GNP(国民総生産)は、その国民の総生産額を示しており、日本のGNPと言えば、日本国民(外国人を除く)が生産したものやサービスの合計額で算出されます。そのため、日本国内における外個人が生産したものやサービスの額は計算に含まれず、反対に、海外で日本人が生産したものやサービスの額は、GNPの計算式に含まれます。


上記フォーチュンのインタビュー記事は、2001年に書かれたものであるため、現在もバフェット氏が通称「バフェット指数」を愛用しているかどうかは不明ですが、2001年時点では、株式市場を評価する上で重要な指標としていたことは明らかです。


4.バフェット指数はきちんと機能しているのか??

「バフェット指数」と検索をかけると、検索結果の候補として「バフェット指数 あてにならない」という検索候補が上位にでてくるため、「バフェット指数って本当に株式市場の割高・割安を測る指標として機能しているのか?」と懐疑的になっている方も多いのではないでしょうか?


そこで、過去の金融危機やバブル崩壊時のバフェット指数を確認し、バフェット指数が株式市場崩壊前の警告を示すシグナルとして本当に機能してきたのか見ていきます。


*以下表において、「バブル崩壊(日本)」のみ、日本のバフェット指数を参考にしております。その他は全て、米国のバフェット指数を参考にしております。


日付 イベント バフェット指数
1987年10月 ブラックマンデー 51.2~52.3
1991年3月 バブル崩壊(日本) 90.0
2000年03月 ドットコムバブル 142.9
2007年 世界金融危機 100.9~101.4

こうしてみると、2000年の「ドットコムバブル」と2007年の「世界金融危機」の際には、割高とされる100.0を超えていることが分かります。


特に、「ドットコムバブル」の崩壊では142.9という異常に高い数値を記録しております。


また、2007年の世界金融危機時には、バフェット指数が100.0を少し超えた水準で株価は下落し始め、リーマンショック発生を期に株価が急落し始めました。


従って、過去の主要な金融危機時には、バフェット指数は株式市場が過熱気味であることを示しており、株式市場崩壊前の警告を示すシグナルとして機能していたと言えます。


では、現在のバフェット指数の水準はどうなっているのでしょうか?

出典:The Buffett Indicator at All-Time Highs: Is This Cause for Concern?

バフェット指数は、2012年の夏以降、割高とされる100.0をずっと上回っており、2021年02月には228.0という統計史上他に例を見ないほどの高水準となっています。


しかし、2012年夏以降、日本株も米株も上昇基調にあり、米国のS&P500は2013年~現在までで2倍以上上昇している上、これといった株価の暴落は起きておりません。


このように、現在のバフェット指数は、GDPの水準と比較すると明らかに割高を示していますが、株価暴落のシグナルとしては機能していないように見受けられます。


5.なぜ、バフェット指数が100.0を超えているのにも関わらず株価は上昇し続けているのか?

バフェット指数が数年以上100.0を大きく上回り続けているのにも関わらず、株価の暴落が発生していないと考えられる理由として、歴史的な低金利が主な原因であると考えられます。


以下の図は、2011年03月~2021年3月までの日本の長期金利(10年物国債の利回り)の推移を示すグラフです。


2011年ごろは1.0%ほどあった長期金利が年々下がり続け、現在では0%付近で推移していることが見て取れます。


一般的に、国債は安全資産とされているため、リスク資産である株式よりも利回りが低いのは当然です。


しかし、10年物国債の利回りが0.1%付近とあまりにも低いと、多少リスクをとってでも株式に投資しようと考える投資家が続出するため、それに伴い株価は上昇します。*株式投資の利回りは一般的に4%~7%程度。


このように、長期金利と株価には、長期金利が上昇すると株価は下落し、反対に長期金利が減少すると株価は上昇するといった関係にあります。


そのため、現在のような圧倒的低金利の時代では、リスク資産である株式の方が安全資産である国債より魅力的であるため、株式市場にお金が流れ、バフェット指数が100.0を超えても株価が上昇し続けているわけです。


バフェット指数が機能したとされている、2000年03月のドットコムバブル崩壊時と2007年の世界金融危機発生時の米国長期金利の推移を見てみると、2000年では約7.0%2007年では約4.0%ほどで推移しており、現在の米国長期金利が1.6%程度(2021/04/04現在)と比較するととても高水準であったことが分かります。


それほどにまで高水準であれば、わざわざリスクをとって株式に投資しなくても、安全資産とされる国債を保有しておこうとするインセンティブが働き、株式市場からお金が流出し債権市場へと向かったため、株式が暴落する引き金となったと考えられます。


以上の通り、過去にバフェット指数が株式市場の暴落シグナルとして機能してきたのには、長期金利が高い水準で推移していたという背景があったのです。


最近では、米国の長期金利が少しづつ上昇に転じてきているため、バフェット指数が割高を示している状態で、このまま長期金利が上昇し続ければ、株価が暴落する可能性も十分にあるのではないしょうか?


6.まとめ

①GDPに占める株式時価総額の比率を示す指標

②当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100

③50~70が適正で100を超えると割高

④世界金融危機(2007年)やドットコムバブル(2000年)の際には過熱感を示す100を超えていた

⑤バフェット指数は超低金利を背景に、2012年夏以降恒常的に100を上回っている

⑥長期金利が上昇すれば、株価が急落する危険性上昇


バフェット指数は、世界金融危機やドットコムバブルの際には、暴落を示すシグナルとして機能していました。


現在は超低金利時代を背景に、バフェット指数が200を超えたりと異常な状態が続いています。


そうした中で、バフェット指数単体で株式市場の割高・割安感を測ろうとするのではなく、長期金利の動向も併せてウォッチしたりと、複数の指標を組み合わせて市況を判断することが重要になりそうです。

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