PMI(購買担当者景気指数)は、製造業や非製造業の購買担当者に三者択一のアンケートを実施し、指数化しただけの指標です。
このように、とてつもなくシンプルな指標ですが、PMIは注目度の高い指標となっています。

そんななぜか注目度が高い指標ですが、この記事では、PMIが重要視される理由やPMIの計算方法、主要国のPMIなどPMIについて幅広く解説していきます。
・PMI(購買担当者景気指数)とは?
PMIとは、400社以上の企業の購買担当者に5つの項目(新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫)についてアンケートを実施し、結果を指数化した指標です。

アンケート内容はとてもシンプルで、各項目について前月より「改善した」「変化なし」「悪化した」の三者択一で回答してもらう形式になっています。
計算方法については後ほど詳しく説明しますが、回答結果にウエイト付けをし、0〜100までの数値で結果が示され、「50」が景況感拡大と縮小の境目(=前月から変化なし)です。
また、PMIは、製造業の購買担当者を調査対象とする「製造業PMI」とサービス業の購買担当者を調査対象とする「サービス業(非製造業)PMI」の2種類があります。

KEY WORDS
・製造業や非製造の購買担当者に景況感に関するアンケートを実施し公表する指標
・調査対象企業数は400社以上
・50が景況感拡大・縮小の分岐点
・PMI = (P1 × 1) + (P2 × 0.5) + (P3 × 0)
・新規受注(30%)、生産(25%)、雇用(20%)、入荷遅延(15%)、在庫(10%)のウエイトで算出される
・IHSマークイットのPMI以外に、ISM、財新、中国国家統計局などもPMIを公表している
・なぜ注目されるのか?
PMIは購買担当者に景気に関するアンケートを実施し、結果を指数化しただけの指標です。
VIX指数のように難しい計算式を使用したり、GDPのように複数の指標を組み合わせて算出されている訳でもなく、ただ購買担当者の感覚に指標結果が委ねられています。
これほどにも主観的でシンプルな指標がなぜ、市場から注目されるのでしょうか?
それは、購買担当者は、現状の市場の様子や景気の先行きを考慮した上で仕入れる量を調整する必要があるため、景気動向に敏感な担当者が多く、彼らの意見は景気の先行きを占う上で、非常に参考になるからです。
そのため、購買担当者の意見をベースに算出されるPMIの市場からの注目度は非常に高いものとなっています。
・構成する5つの指数
PMIは下記5つの指数から構成されております。その5つの指数に関して購買担当者にアンケートを実施し、項目ごとに()内にある比重でウエイト付けをして算出されます。
- 新規受注(30%)
- 生産(25%)
- 雇用(20%)
- 入荷遅延(15%)
- 在庫(10%)
*構成比率は、PMIの主な公表主体であるIHSマークイットの比率を参考にしています。
このように、PMIは、複数の指数の結果を複合した複合指数(composite index)であり、新規受注と生産状況に大きく結果が左右される指標です。
・PMIの主な公表機関
PMIはどこか1つの機関だけが指数を公表しているという訳ではなく、公表主体は複数あります。
その中でも、特に有名なのがIHSマークイットが公表するPMIです。IHSマークイットとは、世界40ヶ国以上+ユーロ圏のPMIを毎月公表している民間情報会社で、IHSが公表するPMIは、世界中の中央銀行や市場関係者から注目されます。
そのため、PMIと言えば、一般的にはIHSマークイットが公表しているPMIを指す場合がほとんどです。
その他の公表機関としては、米国のISM、中国の財新や中国国家統計局などが挙げられ、それぞれISM製造業PMI&ISM非製造PMI、財新PMI、国家統計局PMIを公表しています。
・PMIとISMでは何が違うのか?
IHSマークイットが公表しているPMIと似たような指標として、ISM(米サプライマネジメント協会)が公表する製造業PMIや非製造業PMIがあります。
ISMのPMIは、毎月第1営業日に公表されるため、速報性が非常に高く、景気の先行指標として注目度の高い指標です。
ISMが公表するPMIもマークイットが公表するPMIも、製造業や非製造業で従事する購買担当者に「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」などについてアンケートを実施し、50を分岐点として結果を算出する点では同じです。
しかし、 IHSマークイットとISMでは、調査対象企業数や各構成指数の比重が異なります。
実際、IHSマークイットが公表するPMIでは、国ごとで若干異なりますが、大体400社以上を調査対象としている一方、ISMの調査対象企業数は350社程度です。
また、IHSマークイットのPMIでは、新規受注(30%)、生産(25%)、雇用(20%)、入荷遅延(15%)、在庫(10%)の比率でウエイト付けしてPMIを算出しますが、ISMが公表するPMIでは、上記5項目全て20%として算出されます。
このように、IHSマークイットのPMIとISMでは、調査対象企業数や主要構成項目の比重と言った点で異なっているのです。
・計算方法
PMIのアンケートでは、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の5つの項目に関して、前月より「改善した」「変化なし」「悪化した」と三者択一で回答する形式になっています。
PMIは購買担当者の回答を基に、上記5項目のウエイトに応じて、下記の計算式で算出されます。
PMI = (P1 × 1) + (P2 × 0.5) + (P3 × 0)
出典: Investopedia
*P1=「改善した」と回答した割合
*P2=「変化なし」と回答した割合
*P3=「悪化した」と回答した割合
計算式をみるとお気づきになったかもしれませんが、「変化なし」と回答した割合には、×0.5がなされるため、どちらかと言うとポジティブな回答として換算されます。
PMIの結果は、50が前月と変化なしで、50以降が景況感の拡大、50未満が景況感の縮小を意味しています。
・最新結果&チャートを確認する方法
ここでは、主要国のPMI最新結果&チャートへのアクセス方法を紹介しております。
- アクセス手順(IHSマークイット)
へアクセス
②「Latest PMI releases」項目の
下側にある「View all」を押下
③ 「IHS Markit Flash 国名」と記載
されているので、確認したい国を
クリック
3枚ほどのPDFが表示され、「Key findings」にその月の結果の概要が記載されており、右側にあるグラフがPMIの推移を示すグラフとなっています。
- アクセス手順(ISM)
①ISMのサイトへアクセス
②「Manufacturing PMI」
の「view Report」でレポート内容、
「view Chart」でグラフを確認
上記手順は、ISM製造業PMIの最新結果&チャートの確認方法です。ISM非製造業の最新結果&チャートを確認したい場合は、②の手順で「Services PMI」の「view Report」と「view Chart」をご確認ください。
- アクセス手順(財新PMI)
①IHSマークイットのホームページ
へアクセス
②「Latest PMI releases」項目の
下側にある「View all」を押下
③ 「Caixin China General
Services(Manufacturing) PMI」
と記載されている項目をクリック
このように、財新PMIの結果も、IHSマークイットのホームページ上から確認することができます。
また、③の手順で「Caixin China General Manufacturing PM」と記載されている項目が「財新製造業PMI」の最新結果で、Caixin China General Services PMI」と記載されておりされている項目が「財新サービス業PMI」の最新結果ということになります。
- アクセス手順(中国国家統計局PMI)
④でPDFを選択すると国家統計局が公表するPMIの最新レポートにアクセスすることができます。
