S&Pケースシラー住宅価格指数とは、米国のメイン都市の住宅再販価格を集計し、公表される指標です。戸建て住宅の再販売価格を基に、ファイサーブ社が2000年1月の価格を“100”として住宅価格指数を算出し、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ社)が毎月発表しています。


・大都市の住宅再販価格をS&P社が公表
・2000年1月を”100”として算出
・同一住宅の再販価格が調査対象
S&Pケースシラー住宅価格の3つの種類
S&Pケースシラー住宅価格指数には、調査対象となる都市やその数によって3種類あります。
1つめは、ニューヨークなどの10都市の住宅再販価格を調べた「10大都市圏住宅価格指数」
2つめは、10大都市圏住宅価格指数に、シアトルなどの10都市を足した「20大都市圏住宅価格指数」
3つめは、20大都市圏住宅価格指数に含まれる20都市それぞれの住宅再販価格の調査結果である「大都市圏指数」です。

主な特徴2選

① S&P住宅価格は遅行指数であること
② 一戸建て住宅のみが調査対象であること
S&P住宅価格指数は、調査月の翌々月に調査結果が公表されるため、遅行指数に分類されます。
また、一戸建て住宅の再販価格を調査対象としているのも特徴的です。



尚、英語では、single-family homeなどと呼ばれています。
指標誕生までの歴史

1980年代前半
カール・ケースが、同一住宅の再販価格算出方法を考案
1980年代後半
カール・ケースは、経済学者である ロバート・シラーとアラン・ワイスと共に考案した指標を発展
1991年
住宅再販価格の調査データを販売するため、ケース・シラー・ワイス社を設立
2002年
ファイサーブ社(Fiserv, Inc.)に買収され、社名がファイサーブCSW社となる
当時ボストンで巻き起こっていた住宅ブームが長続きしないと考えたウェルズリー大学の教授:カール・ケースが、同一住宅の再販価格を比較するため、1980年に本指標の土台となる算出方法を考案。その後、2人の経済学者:ロバート・シラーとアラン・ワイスと共に、指標を発展させた。
そして、1991年に、米国全土を対象にした住宅価格の調査データを販売するため、ケース・シラー・ワイス社を設立。2002年に、ファイサーブ社(Fiserv, Inc.)に買収されたことにより、ファイサーブCSW社となりました。
そして現在、ファイサーブCSW社は、S&Pケースシラー住宅価格を算出するためのデータの集計を行っています。
過去動向 〜 これまでの推移

2000年以降
住宅バブルに伴いケースシラー住宅価格も右肩上がりに上昇
2006年6月
206.38ポイントを記録し、ピークに達する
2012年前半
134ポイントを記録 これを底として回復基調へ
2019年以降
全ての月において前月比増となり、住宅価格は伸び続けている


2000年以降、住宅バブルにより、ケースシラー住宅価格は右肩上がりに上昇し続けました。その後、2006年6月の206.38を天井として、急落。そして、2012年前半に記録した134ポイント付近を底として、現在に至るまで緩やかに上昇し続けています。
住宅バブル絶頂期であった2006年6月に206.38を記録しましたが、2019年は、全ての月において、それを上回っています。このように、住宅価格がバブル期以上の水準で伸び続けている背景として、歴史的な低水準にある住宅ローン金利や、消費者期待調査で公表される住宅ローン延滞率の低下などが挙げられます。
しかし、住宅価格は、インフレ率を上回るペースで上昇し続けている上、住宅ローン債務残高は、2019年7月〜9月の期間で9兆4,370億ドルとなり、リーマンショック期である2008年7月〜9月の9兆2,940億ドルを上回る水準で増え続けています。
☆ まとめ

S&Pケースシラー住宅価格 | |
公表日 | 毎月下旬 |
特徴① | 遅行指数 |
特徴② | 一戸建て住宅の再販価格のみが調査対象 |
*平均 | 166.29 |
*最高 | 222.21 |
*最低 | 100.0 |
*平均値、最高値、最低値は全て、2000年から2020年の期間が対象。
☆ 情報の信頼性
本記事は、主に以下文献を参考に作成いたしました。尚、情報の質を高めるため、参考文献を選定する際には、信頼性の高い文献を参考にしております。
・S&P CoreLogic Case-Shiller – S&P Dow Jones Indices
・United States S&P Case-Shiller Home Price Index – TRADING ECONOMICS